Vol.11 ITエンジニア/CRMのためのコラム

エクスペリスの社員が素晴らしいキャリアを築くコツをお話しします。

コミュニケーションとより良い人間関係作り

葛城 利之

執筆者プロフィール

葛城 利之

システム技術1課
課長

コミュニケーションの大切さ

転職を繰り返すと、日本文化の場合「長続きしない人」と思われがちだが、アメリカ文化の場合は「経験を積んだ人」ともてはやされることもある。どんなものでも見る角度が違うと見え方も違ってくるものだ。経験というお金では買えないものを手にする面から見ると転職には賛成する。私の場合は、経歴にサービス業が多かったせいか今のIT業界でも業務の中でコミュニケーションを大切にしている。ここではこのコミュニケーションの大切さとその中で使われる言葉の大切さについてお話しする。
IT業界の場合、後まわしにされがちなコミュニケーション。朝のあいさつもチャットやメールで済ますことさえある。しかし、システム業務では意外にこのコミュニケーション能力が問われる場面が重要なポイントだったりする場合もある。

誤解を解く鍵=コミュニケーション

お客様の要望や意向を理解したり、システム事業者の説明を正しく伝えるためのコミュニケーションは重要である。トラブルを抱えるプロジェクトの多くは、コミュニケーションの不足が大きな要因となることが多く、人間関係のもつれや、メールの言葉遣いなどもそうであるが、コミュニケーション不足から来るシステム構築など業務上のトラブルは一言で言うなら、「認識の違い」であると思う。
説明を正しく伝えるために用語を適切に使わなければ、お客様とシステム事業者との間に認識の違いを抱えたままプロジェクトが進行することになる。失敗プロジェクトの中には、最終局面で認識の違いが発覚し、その結果、深刻な事態に陥ったという事例もある。その認識の違いを生みやすい要因のひとつは言葉、つまり単語(業界用語)である。

どこの業界でも専門用語を知らなければ、業務上の支障は出てくる。IT業界の場合の業界用語は「略語」「カタカナ用語」「組織用語」の3つである。商談や組織ミーティングでは、やたらと3文字英語やカタカナを会話に入れてくることは多い。認識の違いを生みやすい略語の打合せで例をあげると、「人をアサイン」「情報をシェア」「ペンディングしてください」「VM」「WEB」「ASAP」等のカタカナ語や略語を過剰に用いている担当者を見かける。カタカナ用語や略語を多用した説明を聞くと「この人は自分の話している内容を理解しているのだろうか」と疑問に思うことがある。これが悪いというわけではなく、注意しなければならない点がある。
例えば、「JVMユーザをLDAPに登録しておいてください。ASAPでお願いします。」とか「このPCからもう一台へP2P接続して、画像をJPEGで表示できます。画像の数が多いときはサムネで自動表示します。」とか、言われても通常の人はわからない。
IT業界にいる以上、カタカナ用語は日常茶飯事であり自分ひとりだけが使わないことを心がけても単なる悪あがきにしか見えないだろう。業務をスムーズにするために略語を使うのはいいのだが、センスよくみせるためなんとなくのニュアンス伝達に使ってはいないだろうか。話している方が当たり前のように使うため、聞いている方も今さら聞けない恥ずかしさから、わかったふりをしてしまう。つまり、なんとなくのニュアンス表現で略語を使う話し手と、わかったふりの聞き手が大切なシステム構築や変更作業をした場合、「認識の違い」による恐ろしいトラブルが潜んでいても、作業指示の時点では見えてこない。

英数字略語の例

ASAP:as soon as possible(できるかぎり早く)
FYI: for your information(ご参考までに)
PDF: portable document format(パソコン環境に依存しない電子文書の為のフォーマット)
B2B: BtoB、Business to Business(対会社、つまり企業間取引)

例として英字略語をジャンルに関係なく並べてみたが、新しい略語が次々に出てくる現在はすべて知っておく必要はない。しかし、商談などで頻繁に用いる略語については事前に知っておくべきことである。お客様から「この略語の意味は何ですか」と質問されて困っているようでは提案内容の品質が低下し、お客様の信頼が薄れる場合もある。略語の意味を正しく理解してからお客様への説明に用いることにより、認識の違いが起きにくくなると思う。また、プロジェクト開始の初期段階でそこで使われている用語集を作成し、お客様やプロジェクトメンバーと事前に認識をあわせるといったことや、少しでも疑問に思った単語は常にメモを取り、あとで調べるといったことも有効であろう。
このように略語や用語を多用することで、誤った言葉の使い方が発生し、知らないうちに認識の違いが出てくる。コミュニケーションの不足からプロジェクト自体が空回りすることとなる。そんな構図である。

略語・用語の多様 → 誤った言葉の使い方 → 認識の違い → コミュニケーション不足 → プロジェクトの失敗

人をつなぐ「言葉」という道具

さて、ここまではコミュニケーションでの「認識の違い」の注意点について述べてきたが、コミュニケーションが大切という要素には人とのつながりがあり、そしてそれを強くする道具は言葉であるということを更にお伝えしたい。
人ごみは疲れるとか、人に会うと元気をもらう、など人と接するとエネルギーの交換をしていることは、誰しも心のどこかで感じていると思う。元々人にはエネルギーがあり、コミュニケーションをすることでその交換能力も活性化されているものだ。そこで使われる道具は言葉である。言葉は便利な道具だけれども、使い方によっては成功も失敗も発してしまうものだ。言霊という言い方をすることもあるように、言葉には魂があり、人を勇気づけたり傷つけたり、心をあたためてくれたりする不思議な道具である。これはメールやFAX等のパソコンの活字などでは伝わらない。
システムに深く関わっている人たちだからこそ、この言葉のぬくもりを忘れずにシステム事業に携わってほしい。

プロジェクトの中でも、同僚に声をかけるとき、上司や部下に声をかけるとき、言葉による行き違いはなるべく無いほうがいい。上司も部下も互いに迷惑をかけ合うもの。ときには意見の行き違いもあるだろう。そんなときは、人の数だけ正義があるものだと自分に言い聞かせ、コミュニケーションで解決したいと思う。
プロジェクトは価値があるからやるのではなく、やり抜くことに価値が生まれる。わかりやすい用語と円滑なコミュニケーションを図れば、きっとプロジェクト成功の要因につながると確信する。